皆さん、こんにちは!
前回、日光編の前編を書きましたので後編を…と思ったのですが…
今回は予定変更を致します。
何故なら今が旬のあの映画が日本公開されたからです(笑)
カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞でもアジア映画初の作品賞を含む4冠を達成という快挙を成し遂げた。
「パラサイト~半地下の家族~」
こちらを観てきたからです!
いやぁ~面白かったですよ。
この作品は韓国映画になりますね。
だいぶ前ですがブログでも「韓国映画」のクオリティが高くなっている…そんな事も書きましたが、いよいよアカデミー賞の作品賞を獲れる作品が出てきました。
素直に「おめでとう!良い作品でした。」と称賛したいところですが…
韓国のメディアが「アジアがアカデミーを獲るのはノーベル賞を取るより難しい、韓国は日本に勝った」と報じていた事が引っ掛かります。
日本人がノーベル賞を受賞した事や、昨年パルム・ドールを取った作品「万引き家族」などに対する比喩のようなものなのでしょうか…
わざわざ作品の価値を落とすような事をしなくても…国家間の政治的背景は作品に関係ないというか…そうなっちゃうと作品がちょっと可哀そうというか…
そもそも映画作品に勝ち負けってあるのか??と思ってしまいます。
さて、ですが作品は先ほど言った通り、素晴らしかったので語りたい(笑)
今回はこれから観る人向けと、もう観たであろう人向けに分けて前編・後編で語りたいと思います。
というのも…
これは皆さんも知っていると思うのですが…
監督自ら「ネタバレしないでね~」と言っています。
という事で…作品自体に何か仕掛けがある事になります。
私の大好物のパターンです(笑)
ただ、これに関しては良し悪しで…
これを前情報として知っていると、観る側は「何かが起こるぞ」となり、純粋に驚きたい場合はやっぱりアレですよね?
いや、こんな事を言われたらメッチャ構えますよ!(笑)
とは言え、これだけ話題になってしまったらそれも仕方ないんですけども。
さて、私も仕掛けがあるのを承知で観に行きましたが、作品のポスターから漂う不穏な雰囲気…そしてこのポスターを見てください。
謎の足が写っているんですよね。
※キム一家のお母さんの右足にも虫が(コオロギ?)不穏過ぎる(笑)
同監督を世界的に有名にした初期作品「グエムル~漢江の怪物~」というのを観たことがあって…それもあり…
※モンスターパニック物です、大きくジャンルを分けすると…
そのテイストかなと?
タイトルの「パラサイト」というのも「寄生する」という意味なので、この中の誰かが何者かに(宇宙人みたいなもの)寄生=乗っ取られていて…つまり偽物がいるよ!というカラクリを予想して行ったのですが…
※映っている足は乗っ取られた人の足と予想
安心してください!!
そんな使い古されたカラクリじゃなかった!!!(笑)
何て言ったら良いのか…
う~ん、もう見てくださいとしか言えませんわ(笑)
今回は見てない人向けという事で、この作品の魅力をネタバレしないように感想を語ってみます。
ホント、多くの人に見て欲しい!
「パラサイト~半地下の家族~」は経済格差をテーマにした作品になります。
「半地下」…地面(道路)より1段下に部屋がある住居、日本でも繁華街の飲み屋とか喫茶店があったり、デザイナーハウスなどで敢えて半分が地下のスペースを作ったりとかがあったりしますが…
そういったオシャレ物件ではなく、韓国では経済的格差の象徴でいわば貧困層が住む、格安家賃の物件となります。
韓国では珍しく無く、過去に北朝鮮の攻撃に備えた「防空壕」を政策とし建築基準法として設ける時代があったそうです。
人口が増え、防空壕をアパートにしたと思っていただけると分かりやすいかも。
主役はこの半地下住宅に住む、仕事が見つからない4人家族…キム一家となります。
ある日、キム家の長男「ギウ」が大学に通う友人「ミニョク」から丘の上に豪邸を構える、いわば超富裕層であるパク一家、その長女(高校生)「ダヘ」の家庭教師を自分の代わりにしばらくやらないか?と持ち掛けられます。
超富裕層の家庭教師ができるという事は、ミニョクはそれなりの富裕層でエリートの大学生ということになります。
一方、ギウは能力はあるが金銭的理由で、大学へは行けていない状態です。
そんなギウに家庭教師を持ち掛けたには理由がありました。
実はミニョクはパク家の長女のダへ…いわばご令嬢の事が好きで、卒業を待って付き合おうと考えています。ミニョク自身はこれからアメリカヘ留学しなくてはいけなく、同じ大学の友人ではダへを取られてしまう事を心配し、真面目なギウであれば心配ないだろうという考えから話を持ち掛けたと語ります。
ギウにしてみれば、棚から牡丹餅よろしく(笑)舞い込んだ幸運、就職先が見つかります。
そして身分を詐称しパク一家の家庭教師になります。
それから、計画を練って残りの家族が次々とパク一家に入り込んで寄生していく…
と言うのが大まかなストーリーです。
その描写を面白おかしく、スリリングに描いています。
コメディであり、サスペンスでもあり…とにかく軽快に進んでいく無駄のない展開は観ている側を飽きさせません。
まさにポン・ジュノ監督の手腕が光る構成!
私は監督の初期作品である、先程も触れました「グエムル~漢江の怪物~」が凄く印象に残っていて…
なんというか…原点に帰ったというか、やりたいようにやったな…というか…
そんな印象を受けました。
とにかく「グエムル」をブラッシュアップ、磨きに磨いた!そんな感じがしました。
ストーリーとかじゃないですよ(笑)
雰囲気というか、匂いというかの部分です。
この監督の特徴と言いますか、そういった「クセが凄い」部分(笑)が色濃く出ている作品が「グエムル」で…
…なんて言ったら良いんだろ?
シリアスなシーンや切羽詰まったシーンでも何かコミカルで笑ってしまう感じだとか。
パニック物かと思えば急に家族ドラマなったりだとか…
何か「真剣にふざけている」感じがする作品なんです(笑)
何年も前で、うろ覚えで…間違っていたら申し訳ないんですが…
印象に残っているシーンで「巨大な怪物」にさらわれた娘を生きていると信じ、家族で助けに行こうと団結するシーンだったと思います…
一刻も早く、救出しないと娘が危ないという状況の中…
何故か急に長い「家族ドラマ」が始まります。
そして、どうやって巨大な怪物から娘を救出するか?という家族での会議シーン…
ライフルのような、それなりの重火器などを用意する中…
父親がなんか小っさい槍?みたいのを拾ってきて、「俺はこれで怪物を倒す!」みたいなシーンが何となく印象に残っています。
100人中100人が「いや!絶対そんな短いので無理やろ!!もっとええ武器がソコにあるのに、何でソレ選んだんやっ!」とツッコミたくなるのに、至って本人は真面目に会議している…真剣だけどふざけている感じがするというか?
※もしかすると槍じゃなかったかもしれない、なにせ十数年前だし(汗)
まだ、観ていない人はレンタルDVDで旧作100円です。観てから「パラサイト」を観に行くとポン・ジュノ監督テイストを体験した上で、仕掛けとされている箇所も…あぁポンさんだからね(笑)とすんなり納得できちゃうのでお勧めです(笑)
パラサイトに話を戻しますが…
ネタバレ注意と言われていますが、個人的にはソコはどうでも良くて…
※強がりでも何でもなくて…ネタバレの部分はそれほど驚きはなかったです。
この作品は監督の今回のテーマになる「富裕層と貧困層その格差」の構図としての描写が素晴らしくて…
デティールとアングル、そしてメタファーとしての様々な映像的魅せ方をしてくれます。
観た後にもう1度確認したくなるような「伏線」や「描写」が散りばめられていて…
いわゆる…
考察系
の映画に仕上がっています。
ですので、ネタバレと関係のない部分で是非、注目しておいてほしい部分を書いておきます。
まずは「石」…作中に最初から最後まで出てくるんですが…何を表しているのか…
※友人のミニョクから序盤にプレゼントされた、水石と言われる石です。
観た後に…その人がこの映画をどの様に観たかで解釈が分かれるだろうなというポイントですので注視しておくと面白いです。
そして、テーマやネタバレには直接関わりがないけど…パク家の長男「ダソン」の言動や行動にある秘密…
同じくパク家の長女「ダへ」の中にある秘密…
作中では語られる事はありませんが、監督の用意した考察せよ!という仕掛けだと思うので2人も要チェック…
そして「階段」…の意味。
最後にパク家の豪邸には採光が取れる大きな窓が多くあり、ガラス越しなどのシーンが意図的に多く、これがどういう意味なのか?など…
そしてこの家の中でも、シーンによって同様の法則があったり…と
この辺も注視していると何倍も面白くなると思います!
ホントに今が旬ですので、ネタバレが浸透する前に観てくださいませ!
ちなみに先程のガラスのシーンに関連する画像を見つけたので載せておきます。
どういう意図があるのか観て考察してみてくださいませ(笑)